地域プロジェクト 第4回
静岡県小山町の再生可能エネルギー事業~環境・経済を好循環「森の金太郎発電所」
静岡県駿東郡(すんとうぐん)小山町(おやまちょう)は静岡県最北東に 位置し、富士山頂のあるまち・金太郎生誕の地として有名です。小山町は、 環境と経済の好循環を図り地域の活性化と林業の発展に寄与するため、 未利用間伐材で製造した木質ペレットを発電資源とした「森の金太郎発電所」 の運転を2018年9月に開始しました。
▼屋根で太陽光発電も
木質ペレットによるバイオマス発電設備はドイツのブルクハルト社製で、 ガス化ユニットV3.90及び熱電併給ユニットECO165HGで構成されています。 発電出力は165kW、送電端では約157kWとなります。年間稼働時間を 7500時間とすると、年間売電量は1,177,500kWhです。木造2階建ての 屋根は全面が「太陽光発電パネル葺き」となっており、東京太陽光建材㈱ の両面受光型単結晶シリコン太陽電池モジュール290Wを187枚使用して います。またPCS容量は12.375kW x 4台=49.5kWです。
▼売電に加え売熱でエネルギー効率向上へ
小山町によれば、「森の金太郎発電所」は稼働当初は売電事業のみですが、 数年の内には林業エリアに建設を予定されている施設や、隣接するアグリ インダストリーエリアに進出する企業への売熱事業を開始する予定とのこと。
「森の金太郎発電所」は静岡県の「ふじのくにフロンティア推進区域」の 湯船原地区にあり、小山町における再生可能エネルギーを活用した産業 拠点事業となります。本事業は、静東森林経営協同組合をはじめとする 小山町の林業関係者と連携し、発電資源となる小山町産の木材を安定的 に供給していく必要があります。木質ペレットは地元の富士総業㈱の製造 する富士山ペレットを年間約825トン購入します。
このように地域の材を活用することで地域資源循環型社会の形成や 温室効果ガス排出量の削減など、持続可能な社会形成に向け、周辺環境 との調和及び地域経済への好循環を図っていくことが可能となります。
▼設備販売会社が管理運営にも助力
この施設は、小山町が設置し、合同会社ふじおやまパワーエナジーに より管理・運営を行います。合同会社ふじおやまパワーエナジーは 大日本コンサルタント㈱と三洋貿易㈱による合同会社で、資本金 1,000万円。出資比率は大日本コンサルタント㈱が80%、三洋貿易㈱が 20%です。三洋貿易㈱にとっては自社が販売した設備の管理・運営会社 への出資は初めての経験となります。