地方創生コラム 第7回
「パリ協定」の実現を確実にするために
昨年末のCOP24で「パリ協定」の実施指針が採択された。「2050年までに温室効果ガスを80%削減する」というパリ協定の目標達成にむけて、予定通り2020年から本格的に動き出すこととなった。しかし、現段階での各国の削減目標が達成されたとしても、3度程度の上昇が避けられない。各国の一層の努力が必要となる。 わが国では、昨年7月閣議決定した新たな「エネルギー基本計画」で、再生可能エネルギーを「主力電源化」すると明記した。これを有名無実化させないための本気度が問われていると言えよう。ここで注目すべきは企業の技術開発能力や、世界的なESG投資の拡大である。 特に後者については2008年のリーマン・ショックが契機となり、目先の利益を追求するのではなく、E(環境)S(社会)G(企業統治)に積極的に取り組む企業に対し、世界の機関投資家の資金が向かう流れができてきた。企業が行う温暖化対策については、これをコストと見るのではなく、企業価値の向上や成長に資する仕掛けとする考え方である。 人口減少や高齢化で悩む地域は日本の各地にあるが、こうした地域を舞台に、例えば、地方創生と木質バイオマス利用をESG投資によって結びつければ、地域経済を活性化させる有力な武器となる可能性がある。この場合の重要なプレイヤーとなるのは、企業のほか自治体と地銀などの金融機関である。 ドイツでは、近年、シュタットベルケと呼ばれる自治体出資の地域エネルギー会社が各地で次々に誕生している。わが国でも今年、「日本版シュタットベルケ元年」と呼ばれるような取組が各地で起こることを願ってやまない。
(日本サステイナブルコミュニティ協会 代表理事・会長 増田寛也)