バイオマス発電所と関連施設を視察、
串間市長および市担当者と資源循環について意見交換
【11/4(金)ツアー 訪問地区:宮崎県串間市】
一般社団法人日本サステイナブルコミュニティ協会(略称:JSC-A)は、地域の未利用材を活用したバイオマス発電所および関連施設の視察ツアーを11月4日(金)に宮崎県串間市で開催し、自治体職員や民間事業者約30名が参加しました。視察会後に行われた意見交換会では、冒頭に串間市の首長誓約署名式を行い、式典後には串間市長および地域のバイオマス発電事業者、さらに地域の農業生産法人の方々に話題提供をいただき、意見交換を行いました。
ツアーで見学を行ったのは、以下の9か所です。
①大生黒潮発電所(木質バイオマス発電所)
大生黒潮発電所は、地域の未利用材を原料とした定格出力1,940kWの木質バイオマス発電所です。地域から集められた原木は、併設したペレット工場でペレット化し、発電所で燃料として利用するとともに、串間市民病院や地域の温浴施設である「串間温泉いこいの里」の木質バイオマスボイラの燃料として供給を行っています。現在は、副産物として排出される炭(チャー)の農業利用への取り組みも進められており、バイオマス発電所を基軸とした地域経済圏の確立を目指しています。
②串間温泉「いこいの里」(木質バイオマスボイラ)
串間温泉「いこいの里」では、温浴施設の熱源としてバイオマスボイラ(ETA社製ペレットボイラ700kW)を導入しています。バイオマスボイラの燃料には、地域の木材を大生黒潮発電所で加工したペレットが利用されています。同施設では、温浴施設のほか、レストランも設置されており、昼食はここでいただきました。
③串間ウインドヒル(風力発電所)
串間ウインドヒルは、発電出力2,850kWの風車を23基(合計 64,800kW)設置した「九州最大の陸上ウィンドファーム」です。ブレードの長さは50.2m、高さは85m(ハブの位置)となっています。視察では、その内の1基の真下まで近づいて見学させていただき、大きさを体感しました。
④串間市民病院(小型木質ペレットガス化熱電併給設備、吸収式冷温水機など)
串間市民病院では、既存の設備更新に伴い50kWの木質ペレットガス化熱電併給設備(木質ペレットガス化CHP)、木質ペレットバイオマス蒸気ボイラー、吸収式冷温水機、及び冷凍機を導入しています。木質ペレットガス化CHPと蒸気ボイラーの燃料には、大生黒潮発電所で作られる木質ペレットが使われています。同施設では、設備の導入によってCO2排出削減を行うとともに、災害時における災害拠点へのエネルギー供給の自立運用を行うことが可能です。
⑤箕輪農園(マンゴー栽培現場)
串間市内でマンゴーの栽培を営んでいる箕輪農園様に、栽培方法や栽培時期、これに栽培の課題等について伺いました。
⑥都井岬
都井岬は、全国でも珍しい野生馬が生息する岬です。岬からの景色も絶景ですが、極めて手を入れない野生馬に自然生態系を学ぶことができます。
⑦株式会社くしまアオイファーム(農業視察)
串間市内で農業法人を営む、株式会社くしまアオイファーム様にてサツマイモの収穫や保存と農家の現状について伺いました。
⑧堆肥化施設
市が運営する堆肥化施設で、市内の家畜ふん尿の堆肥化を行っています。木質バイオマス発電所の副産物である炭(チャー)との親和性を感じました。
⑨伐採現場視察
最後に伐採現場を視察。何十年と育った木が倒される様子を視察しました。
●首長誓約署名式及び意見交換会
4日の視察終了後、志布志大黒リゾートにて串間市の首長誓約署名式および意見交換会を実施し、ツアー参加者など約40名が参加しました。
【首長誓約についてはこちら】https://covenantofmayors-japan.jp/about/
冒頭、首長誓約日本事務局長の杉山範子先生より、首長誓約について説明いただき、その後串間市の島田 俊光市長が署名を行いました。
続いて行われた意見交換会では、島田市長より串間市の取り組みについてお話しいただき、株式会社くしまアオイファーム 代表取締役社長 奈良迫 洋介氏より「チャーを利用した甘薯基腐れ病の改善と農業振興について」と、シン・エナジー株式会社 代表取締役社長 乾正博氏より「木質バイオマス事業について」についてお話しいただきました。
意見交換会では島田市長はじめ、登壇者へのご意見ご質問があり、活発な議論が行われました。