再生可能エネルギーとSDGsの推進

地方創生コラム 第17回
再生可能エネルギーとSDGsの推進 生態系の破壊・人類滅亡回避へ焦眉の課題

 エネルギーの無い世界は考えられず、無ければ社会は成り立たない。
 持続可能な目標SDG7エネルギーは、「安く信頼できる現代的エネルギーサービスへの普遍的アクセスの確保」「再エネの割合を大幅に拡大」「エネルギー効率の改善率を倍増」という目標である。

 ここで下の図に書かれているSDG7エネルギーと他の16項目のSDGとの関係性を見てみる。

 ここには全人類が望み、解決すべき究極の持続可能な目標が凝縮され、これを構造的にみると「生存圏」「社会」「経済」の三層に分類できる。
 人類が生き続けてゆくために最低限必要な目標は「生存圏」の6項目のSDGsである。これを持続かつ適切に管理維持することである。
 図の基盤・土台の中で、800万種とも言われる全生物種の一種にしか過ぎない人類も、あらゆる生態系のいきものと共存と生存が叶う。そうでなければ、人類は、「全生態系とともに滅亡に到る」と言っても過言ではない。人類が地球を滅ぼすのか、救うのかの「重い選択」を我々世代に委ねられてとも言える。

 その生態系崩壊は既に始まっている。「CO2フリー自然エネルギーの活用拡大」は世界において最大で、焦眉の課題だ。達成されないと化石燃料由来のCO2排出量は増大し続け、地球を包む温室効果ガス層はさらに高濃度となり、益々の気温上昇の果てに生態系が破壊され、人類滅亡への恐怖の道を歩むこととなる。化石燃料を100%自然エネルギーへ転換せざるを得ないことを意味し、容易ならざる困難な道筋である。このような事から、前述の6つの達成目標は生きとし生けるものの生存土台・生存圏と言え、この土台が崩れるなら、社会も経済もあったものではない。

 悩ましく大きな課題は、人口増大が急激な開発途上国の人々が、今後先進国と同様な便利で、豊かな社会を望むことである。しかし先進国はそれを止めることが出来ず、世界が化石燃料よりも安価な自然エネルギーへの転換を達成するまでの間は化石エネルギー消費の増大は避けられないだろう。
 この深刻にして厳しい現実を解決するには、世界中で自然エネルギーの低価格化、導入拡大を急ぐことしかない。そのためにも日本は率先して「省エネルギー化と自然エネルギー利用拡大」をセットで開発途上国への普及などの貢献を目指すことが重要である。
 その最初の一歩は、日本の膨大な森林エネルギー資源を活用し、再生可能で炭素中立となる分散自立「小型木質バイオマスガス化熱電併給設備」を国内の多くの地域へ導入し、それを東南アジアや開発途上国へ展開することではないか。

NPO法人バイオマス産業社会ネットワーク副理事長/
一般社団法人 日本サステイナブルコミュニティ協会顧問 竹林征雄)