JSC-Aと農都会議が「官民一体できりひらく地方創生」で議論
自律分散型電源の重要性など議論、「成功事例、失敗事例のマニュアル化」などの提言も
一般社団法人日本サステイナブルコミュニティ協会(JSC-A)とNPO法人農都会議は2月6日、「サステイナブルコミュニティシンポジウム」を東京・千代田区の専修大学で開きました。「再生可能エネルギーでつくる未来社会、官民一体できりひらく地方創生」を全体テーマに、「FIT(固定価格買取制度)と地方創生」、「地域循環共生圏」について経済産業省と環境省の担当責任者が講演したあと、山形県最上町と愛知県豊田市が事例発表を行いました。高橋重美・最上町町長の地域再生に懸ける熱のこもった講演で会場が盛り上がり、その熱気を引き継ぐ形で「サステイナブルコミュニティづくりの課題と実践プラン」をテーマにパネルディスカッションが行われ、率直な意見が交わされました。
第1部は、省庁の政策担当者による講演が行われました。
まず経産省資源エネルギー庁の菊島大二郎・新エネルギー課長補佐が、「FITと地方創生」と題して講演し、FITの課題として①FITが熱利用を対象にしていないこと②外資による域外流出を防ぐ意味では地元資本のみにFITを認めるかどうか――を挙げました。
環境省総合環境政策統括官グループの川又孝太郎・環境計画課長は、「地域循環共生圏づくりによる地方創生」と題し、「1カ所に集中した電力、エネルギー供給システムでは災害対応できず、自立分散型が必要」と述べました。
第2部は、自治体の首長、担当者から事例発表が行われました。
山形県最上町の高橋重美・町長は、①人を重視した町づくりを推進し、県立農林大学校の林業経営学科と連携し、人材育成にも協力している②森林環境税は地域の山林の保全に加え、都市部の自治体との連携に生かしたい――と話しました。
愛知県豊田市の企画制作部の山井一晃・未来都市推進課主査は、「公共施設へ再エネ設備を積極的に導入している」ことを明らかにしました。
第3部は、官庁、自治体、バイオマスエネルギー全国団体の責任者によるパネルディスカッションが行われました。
モデレーターの乾正博・JSC-A副代表理事が、「再エネで未来社会をどう切り開くのか、地方創生を官民一体でどう進めるのかの視点で議論しましょう」と、話を促しました。
バイオマス産業社会ネットワークの泊みゆき理事長が、「新しい制度や施設を作る前に今あるものを有効に使うことが大事。小さくても成功した事例、逆に失敗した事例をマニュアル化することが必要」と訴えました。